こんにちはー!Romaです。
ワインを飲むと悪酔するんだよね〜
赤ワインを飲むと翌日の寝起きがシンドイ。。
あれでしょ?ヨーロッパから日本に来るワインは
酸化防止剤が沢山入ってるから頭が痛くなるんでしょ?
ソムリエの仕事をしていると、このような話を良く耳にします。
果たして本当にそうなのでしょうか?
今回は、ワインを飲むと頭痛を起こす本当の理由について解説したいと思います。
ググってみると色々な情報が出てくるのですが、ワインに長年携わる経験のもと、出来る限り分かりやすく解説をさせて頂きたいと思います。
◎酸化防止剤って何?
◎頭痛は酸化防止剤が原因?
◎頭痛は起きないワインとは?
では早速参りましよう!
ワインに必ずと言って良いほど添加される酸化防止剤。
そもそもこれは一体どういう物質で、なんのために入れられるのでしょうか?
酸化防止剤の正式名称は亜硫酸塩。
ワインに使用されているものは二酸化硫黄、または化学記号を用いてSO2と呼ばれています。
ワインボトルをよく見てみると、
裏面に酸化防止剤(亜硫酸塩)と書かれておるぞ!
二酸化硫黄とは、温泉街に行くと香り立ってくる
「硫黄」を水溶液に変えたものです。
こんなやつ↓
では何故ワインに添加するのか、主なメリットは3つあります。
その名の通りです。笑
皆さんは酸化したワインを飲んだ事がありますか?
熟成のピークを超えてしまったワインや保管の工程で何らかの劣化が起こってしまったワインは、紹興酒やシェリーのような味わいから、最後はただのお酢となります。
そこで酸化しやすい成分である亜硫酸を添加する事で、他の成分よりも早く酵素と結合させ、ワイン自体の酸化を防いでくれているのです。
アルコールが酸化した時に生まれる悪玉菌のアセトアルデヒドとも結合するので、悪酔を起こすどころか悪酔を防いでくれています。
皮を剥いたりんごが茶色く変色するのは皆さんも経験があるかと思います。
これは酸化酵素の働きによるもので、葡萄果汁であっても同じ反応が起こります。
亜硫酸添加は外観の美しさを保つためにも大きな役割を果たしているのです。
亜硫酸は殺菌力が高く、悪玉酵母や微生物の繁殖を抑えます。
詳しく説明すると、少し専門的なお話になりますので興味のない方は読み飛ばして下さい。↓
ワインにあるフェノール(芳香)成分に、オフフレーバー(欠陥臭)が発生する事をフェノレと言います。
フェノレはブレタノミセス酵母(通称ブレッド)という悪玉酵母の発生が原因で、ワインの香りに馬小屋や、汗で濡れた鞍(くら)、能屋のような心地良くない香りを発生させてしまいます。
このブレッドは白ワインでは繁殖が難しく、赤ワインでのみしばしば見受けられます。
何故白ワインでは繁殖しないのかというと、アルコール醸造が低温管理されている事、ph値が低い事が主な要因です。
亜硫酸は、悪玉酵母や微生物の繁殖を抑える事で、不快臭が起こる原因を取り除いているのです。
以上まとめると、亜硫酸の効果は、
1)酸化を防止し、二日酔いの原因となる悪玉菌の力を抑える
2)美しい外観を保つ
3)微生物の繁殖を防ぎ、不快臭を防ぐ
の3点となります。
続いては、酸化防止剤の及ぼす人体への悪影響について考えてみましょう。
結論から申し上げますと、高濃度の亜硫酸を摂取すると間違いなく人体に影響を及ぼします。
また、亜硫酸はアレルギー物質でもあるため、アレルギーや喘息をお持ちの方は低濃度であっても反応する可能性はあります。
では、ワイン産地ヨーロッパから日本に輸入されるワインには、酸化防止剤が大量に入っているのでしょうか?
実際に酸化防止剤の規約を見ていきましょう。
日本の厚生省の規定では、ワインに使用される亜硫酸の量は350mg/ℓまでと決められています。
そして、EUで定められている亜硫酸の最大保有量は、日本よりも細かくワインのジャンルによって定められています。
一番低いもので辛口赤ワインが150mg/ℓですが、一番高いものですと極甘口ワインの400mg/ℓが認められています。
日本の規定以上に亜硫酸が添加されているワインも、
ヨーロッパでは売られておるぞ!
日本に輸入する分だけ亜硫酸を沢山添加するという話もあったので、生産者やワインを輸入するインポーターの方に質問した事があります。
しかし、皆さん口を揃えてそんな面倒な事はしないと返答を下さいました。
輸出先の国によってワインの中身を変えている生産者は実際いるそうですが、添加されるタイミングが何度もある亜硫酸を、わざわざ国ごとに調整する生産者はいない、が私の結論です。
そんな面倒な事を考えず、SO2無添加のビオワインだけを
飲んでいれば安心ナンジャない?
実は、ビオワインでさえアルコール発酵の過程で酵母の働きによって、自然に亜硫酸は生成されています。
つまり、亜硫酸を全く含まないワインは存在しないと考えた方が良いという事です。
また、何故か亜硫酸はワインに含まれるものだけよく取り上げられてますが、他の食料品や飲料にも使用されています。
特に、ドライフルーツやジャム、フライドポテトなどは、ワインに比べても沢山の亜硫酸が使用されています。
加工食品の品質表示をよく見てみると
「酸化防止剤(亜硫酸塩)」と書いてあるものが多く存在します。
つまり、亜硫酸を気にしていると、この世の中食べられないものだらけとなります。
少し脱線したのでワインの話に戻しますが、では酸化防止剤が頭痛の原因で無ければ何が原因なのでしょうか?
こちらも専門的なお話になりますのでサラっと書きます。
最近分かった事らしいのですが、血管を拡大させる作用があるヒスタミンと、収縮させる作用があるチラミンが片頭痛の原因になる事がしばしばあるそうで、これらの成分は赤ワインを生成する時に必ず行うまろラクティック発酵という工程が関係しているそうです。
◎マロラクティック発酵とは?
酸味を穏やかにし、味わいをまろやかにする事が目的で行われる醸造法。
リンゴ酸を乳酸の働きで乳酸に変える。
それじゃあ白ワインだけ飲んでれば悪酔しないんだね?
スパークリング、ロゼワインだったら飲みすぎても大丈夫って事?
これらの疑問には、私の経験と見解についてお話しようと思います。
ワインを飲んで頭痛や悪酔を起こす1番の原因、それは使用される葡萄の質です。
質の悪い葡萄が使われているのが分かっていてわざわざ購入される方はいないと思いますが、実はスーパーやコンビニで出回っているワインにはそれらが使用されている可能性は大きくあります。
具体的にどういう事かというと、葡萄を収穫の際、特に大量生産が目的とされるものは、短い時間で沢山摘む必要があるため専用のトラクターが使われます。
とても合理的な収穫なのですが、このように一気に収穫してしまうと、その中にはどうしても未熟な葡萄や腐敗した葡萄が混合してしまいます。
収穫後、きちんとした生産者であれば、短時間のうちに醸造所に運ばれ、選果台というベルトコンベアーを使って痛んでいる葡萄は全て弾かれます。
選果を2回行う生産者もいるくらい、
良いものとそうでないものを分けるこの工程は大事なものじゃ!
しかし、そうで無い生産者の場合は簡単な選果のみを行い、設備面の問題からも葡萄畑と醸造所が遠く離れているケースも多い為、収穫されてから長時間の日光を浴びせられた後に醸造されます。
そうして作られたワインが、実際に多く店頭に並んでいるのです。
日光からのダメージを受けないよう収穫を夜に行う生産者もいるくらい、
醸造所との距離も収穫のタイミングも大事です。
考えてみて下さい。
誤って腐敗した食材を使用し、その料理を食べたらお腹を壊しますよね?
それと同じで、少しの量であれ腐敗した葡萄が混在して作られたワインを飲むと、身体が異物だと反応し、頭痛を起こしたり気分が悪くなる原因になると私は考えています。
◎ワインを飲むと頭痛を起こす本当の理由
・酸化防止剤って何?
二酸化硫黄と呼ばれる物質。ワインへのメリットは以下の通り。
1)酸化を防止し、二日酔いの原因となる悪玉菌の力を抑える
2)美しい外観を保つ
3)微生物の繁殖を防ぎ、不快臭を防ぐ
・頭痛は酸化防止剤が原因?
答えはNO。
しかし、マロラクティック発酵を行っているワインには片頭痛を起こす成分も入っている。
・頭痛は起きないワインとは?
未熟や腐敗した葡萄が一切使われていない良質な葡萄飲みを使用したワイン。
良質な葡萄から作られたワインを飲めば、二日酔いや頭痛は防ぐ事ができます。
問題は良質な葡萄から作られているワインを見分ける方法。
これは実際に現地で畑や醸造所を見学し、信用できるワイナリーのものを選ぶのが一番確実です。
とはいえ専門家や超絶ワイン愛好家でもない限り、世界の色々なワイナリーを回る事は時間もお金も労力もかかる為、今すぐにと言われると現実的ではありませんよね。
そこでお勧めは、信用できるワインショップや酒屋を見つける事です。
ワインショップは輸入業者と、場合によっては生産者とも繋がっていますので、現地の状況に詳しく、ワインアドバイザーがいるお店などで聞くと畑事情も丁寧に教えてくれる筈です。
このような事から私は、ワインを買うならスーパーやコンビニでは無く、ワインショップでの購入を強くお勧めします。
とはいえ飲み過ぎは厳禁。悪玉菌であるアセドアルデヒドを分解しきれず、
これはこれで二日酔いに繋がります。
また、良質なワインからは良質な会話が生まれる。
私が好きなソムリエさんの言葉ですが、私もそのように思っています。
居酒屋で安酒をガバガバ飲むのとでは、また違った会話が必ず生まれます。
価格が高ければ良いというものでもありませんが、良質なワインに触れ、大切な人と過ごす時間は、何ものにも代え難い特別な時間となりますので、皆様も引き続き良いワインライフをお過ごし下さい!
ではまた!
今日もどこかでサルーテ🍷
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