こんにちはー!Romaです。
今回も、知っておくべきブルゴーニュの生産者を村ごとにご紹介させて頂きます。
第3回目は、ニュイ・サン・ジョルジュ村です🍷
前回までの記事↓
実際にワイン好きの方やソムリエ仲間との
会話に頻繁に出る生産者をご紹介します!
この記事は、ワインの勉強を始めたばかりの方に向けて書いております。
ブルゴーニュラヴァーの方には物足りない内容かと思いますが、温かい目でご覧頂けたら幸いです^^
また、出来るだけ分かりやすくお伝えしたいと言う意図からカタカナを多く使用します。
カタカナで書く事により、どうしても文字数が増えてしまうため、以下の略語を使用させて頂きますので予めご確認下さい。
・ニュイ・サン・ジョルジュ → N.S.G
・グラン・クリュ(特級畑) → G.C
・プルミエクリュ(1級畑) → P.C
まずは、村の特徴から簡単にご説明させて頂きます!
それでは行ってみましょう!!
ブルゴーニュの銘醸として名高いコートドニュイ地区の一番南に位置し、人口5500人が暮らす1番大きな街です。
銀行や学校が並ぶ商業都市でもあり、郊外にはワインの瓶詰め工場が立ち並び、多くの生産者がN.S.Gに本社を構えています。
コートドニュイの他の村は、数百名程度しか住んでいないぞ!
1849年に鉄道が通り出した頃、ここの駅名はニュイ・スー・ボーヌと名付けられいました。
1982年に改名運動が叶って、村一番の有名な畑名を冠したニュイ・サン・ジョルジュ村が誕生します。
お隣のコートドボーヌ地区には、N.S.Gよりも大きなボーヌの街があり、当時は政治的な争いもありました。ライバルの街の名を付けられる事を市民が嫌い、改名運動を起こした訳ですね。
G.Cを持つコートドニュイの他の村とは異なり、今日ほどの名声を得るまではとても長い道のりでした。
17世期、ルイ14世に侍医(じい)がN.S.Gの古酒が身体に良いとし処方した事や、18世紀の作家数名が、長命であるN.S.Gのワインを健康増進の利点があると褒めたたえた事があり、ゆっくりとその地位は築かれて行ったのです。
近年では、1971年にアポロ15号の宇宙飛行士が月面のクーデターを「サン=ジョルジュ」と命名し、そこにN.S.Gのワインの瓶を埋めたそうです。
それ以降、N.S.Gには「サン=ジョリュジュ・クレーター広場」があり、宇宙航行との縁が深い街でもあります。
さて、G.Cを持たないN.S.Gですが、コートドニュイ地区の中で最多の41個のP.Cを持ちます。
そして、ジュヴレ・シャンベルタンに継ぐ広さのN.S,Gでは、葡萄畑の区画は大きく分けて3つ存在します。
◎ニュイ・サン・ジョルジュの3つの産地の特徴
①北側に隣接するヴォーヌロマネに連なる優美さを醸す産地
②村の南側に位置する濃厚で力強いワインを生む産地
③実際には南のポレモー・プリセ村の畑だが、法律上N.S.Gとして販売されている産地
※下の地図参照
一般的に、力強く土や動物的な香りが特徴的なN.S.Gのワインは、概ね②のN.S.G南側で産出されます。
しかし、ヴォーヌロマネと間違えるほどの優美なワインを産出する①や、個性あふれる③の産地もとても魅力的。
この多様性が、N.S.Gを楽しむ上での1つの魅力と言えるでしょう。
41個のPCを覚えても、使う場面はほぼ無いと思いますので、ここでは最低限抑えておくべきP.Cのみをご紹介します。
ソムリエ教本にも全部のP.Cの名前は出てきておらず、
全て覚えてると言う人や、全制覇で飲んだ事ある方は尊敬に値します!
◎ニュイサンジョルジュの主なプルミエクリュ
①レ・サン・ジョルジュ
②レ・ヴォークラン
③レ・カイユ
◎ニュイサンジョルジュの有名な単独所有畑
④クロ・デ・ポレサンジョルジュ
所有者:アンリグージュ
⑤クロ・ド・ラ・マレシャル
所有者:ジャック・フレデリック・ミュニュレ
⑥クロ・ド・ラルロ
所有者:ラルロ
ここでとても興味深いのは、有名な単独所有畑のうちの2つが、プリモープリセ村の畑である事です。
この土地では、力強いワインを作ろうとして抽出を強くすると、荒削りなタンニンが前に出て良いワインが生まれません。
美味しい酒を造るためには、熟練の技が求められるこの土地だからこそ、優良生産者の力が大きく発揮され、世界的に有名な畑となっている訳です。
美味いワインは力技だけでは造れんぞ!
さて、ここからは本題に入り、覚えておくべきN.S.Gの生産者を紹介させて頂きます。
今回ご紹介する生産者以外にも良い造り手の方は沢山おられますが、今回の記事はブルゴーニュ入門編として書かせて頂きます。
ワインを覚えたての方にとっては多くの生産者を並べると混乱の元となり、結局どの造り手が大事なのかが分からなくなってしまいます。
私自身も初めは色々な本を読んで覚えようとしましたが、かなり苦戦をした経験があります。
そのような理由から今回は2人の生産者に絞ってご紹介をさせて頂きますので、ワイン生産者を覚える第一歩としてこの記事がお役に立てれば幸いです。
では参りましょう!
現在、ニュイ・サンジョルジュで最高の造り手と言っても過言では無いでしょう!
1人目は、ドメーヌ・ロベール・シュヴィヨンです。
ロベールシュヴィニョンの歴史は20世紀初頭から始まったとされています。
前回、ジュヴレ・シャンベルタン村のアルマン・ルソーの記事でもお話ししましたが、当時は葡萄栽培から醸造、瓶詰めを一貫して行う生産者、いわゆるドメーヌ元詰めが一般的で無い中、初代のモーリス・シュヴィニヨンは1930年代から元詰めを始めていました。
当時は、ニュイサンジョルジュの名前で販売されて言えるが、中身はローヌ地方の異なる葡萄(シラーやグルナッシュ)を使った偽造ワインが横行していました。
ニュイサンジョルジュの名が如何に偉大であるかが分かるとともに、現地の生産者は消費者へ対する信頼を取り戻すために奮闘していた事が想像できます。
1968年頃からは息子のロベールも事業に加わり、ドメーヌの評判は急上昇し始めます。
それまでは3haほどだった畑が、ロベールの代で13ha
まで広がり、一気に大ドメーヌとなったぞ!
1977年には完全にドメーヌ元詰めとなり、2000年にロベールが引退した後は、2人の息子、ベルトランとドゥニの兄弟が家業を継いでいます。
・ニュイ・サン・ジョリュジュ村の所有畑
①レ・サンジョルジュ(赤)
②レ・ヴォークラン(赤)
③レ・カイユ(赤)
④レ・ペリエール(赤)
⑤レ・プリュリエ(赤)
⑥レ・シェニョ(赤)
⑦レ・ブスロ(赤)
※青字が1級畑
※村名以上の広域を除く
①〜⑤がNSG村の南側の区画、⑥と⑦がヴォーヌロマネ側の区画じゃ!
N.S.Gの心臓部にあたるレ・サンジョルジュP.C周辺に多くの畑を所有し、果実味の強い、非常に長命なワインを生み出します。
減農薬栽培で造られた葡萄はほぼ全ての枝が取り除かれ、低温で3週間から1ヶ月間の長いアルコール発酵&醸しが行われます。(※醸しとは、葡萄の皮や種から色素やタンニンなどを抽出する作業です。)
その後は、P.Cのワインには3割程度に新樽を用い、18ヶ月間の熟成が行われます。
シュヴィヨンの葡萄樹は古木が多いのも特徴で、その平均樹齢は50〜75年、一番古いものは樹齢100年を超えるものもあります。
樹齢が古いと、葡萄の房の出来る数が減り、1房に対してより沢山の養分が備わります。
また、生きてきた年月の分、根が深く長く張る事で、土からの養分も葡萄へ沢山送り込まれます。
それにより生まれたワインは、古木独自の優しい複雑味を醸し出すことが出来るため、多くの生産者は古木からワインを造ることを望みます。
樹齢の古い木から造られたワインは、
V.V.(ヴィエーニュヴィーニュ)と言われておるぞ!
長い期間、手間隙をかけ、沢山の経験をしてきたからこそ持てる味!
人間に例えるとまさに御老公です!笑
い。
↑この紋所が目に入らぬか!V.V.様なるぞ!笑
2人目の生産者、N.S.Gと言えばこの人の名は欠かせません。ドメーヌ・アンリ・グージュです。
1925年に初代アンリ・グージュが父親から畑を譲り受け、ドメーヌを設立します。
シュヴィヨンと同じく、この当時に蔓延していた偽造酒を無くすためにドメーヌ元詰め運動にも参加し、フランスワインの秩序を整えるためための組織、INAO(イナオ)の設立者の1人でもあります。
INAOは、アンリグージュ、アルマンルソー、ヴォルネイ村の生産者
マルキダンジュヴィルの3名が中心となって設立されたぞ!
このINAOが、原産地呼称、いわゆる畑の区画や格付けを決めて行ったのですが、自分たちの区画が自己贔屓をしないようN.S.Gにはグランクリュを設定しなかった、と言われています。
だったらシャンベルタンG.Cの所有者、アルマンルソーはどうなの?
と疑問が出ますので、実際の所は何が本当か分かりません。
また、N.S.Gの村長をしていたと言う顔や、1946年にはコートドールの組合長にも就任したりと、現在のブルゴーニュワインを基礎を築いた偉大な人でもあります。
1940年代、50年代はとても素晴らしいワインを造る生産者だったそうですが、1867年に創設者アンリグージュが他界し、大規模な改植計画が進められた事が仇となって、1970年代と80年代にはその名声は一時奪われる事となります。
その後、時を経て1990年代、創設者の孫にあたる3代目当主のピエール・グージュと醸造担当のクリスティアンが徐々に品質が向上し、以前のような力強く骨組みの強いワインを造り出しました。
現在ピエールは引退し、息子のグレコリーが4代目当主となり、N.S.Gの約15haある畑の切り盛りを行っています。
・ニュイ・サン・ジョリュジュ村の所有畑
①レ・サンジョルジュ(赤)
②レ・ヴォークラン(赤)
③クロ・デ・ポレサンジョリュジュ(赤・白)
④レ・プリュリエ(赤)
⑤レ・シェニョ(赤)
⑥レ・シェヌ・カルトー(赤)
⑦ラ・ペリエール(白)
※青字が1級畑
※村名以上の広域を除く
※⑦ピノ・ノワールの亜種であるピノ・グージュを使用
2008年からは100%有機栽培で葡萄が栽培され、100%枝を取り除いて醸造されます。
赤ワインは、初代アンリの時代から使用されているコンクリートタンクでアルコール発酵され、新樽は20%ほど、樫樽で約18カ月間熟成されます。
アンリ・グージュのワインは、特にP.Cクラスは全て長期熟成を目指して造られているので、若いうちの味わいは非常に固い印象で、やや不細工に見えるかもしれません。
しかし、素晴らしい熟成を経たグージュのワインは、それに見合うだけの感動をもたらしてくれます。
個人的には、記念日ワインに用いるとコスパ的にも重宝すると思います。ただし、ブルゴーニュは古い年代のワインを見つける事は至難の技ですので、大事に長年寝かせる事(我慢?)が出来る人向けです。^ ^
◎ニュイ・サン・ジョルジュ村の知っておくべき生産者
①ドメーヌ・ロベール・シュヴィヨン
②ドメーヌ・アンリ・グージュ
◎ニュイ・サン・ジョルジュ村の特徴
・コートドニュイで一番大きな街がある
・葡萄畑の区画は大きく3つに別れている
・G.Cが無い産地だが、P.Cの数はコートドニュイ最多
さて、如何でしたでしょうか。
今回は、まず最初に知っておくべき生産者、ニュイ・サン・ジョルジュ編ついてお話をさせて頂きました。
N.S.GのワインはG.Cのある他のコートドニュイの産地に比べ、コスパに優れるものも多くあります。
最後になりますが、今回も記事を書くにあたり、参考にさせて頂いた書籍は以下の通りです^^
ありがとうございましたm(_ _)m
◎参考書籍
今日もどこかでサルーテ🍷
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