【知っておくべき生産者】シャンボール・ミュジニー編

 

こんにちはー!Romaです。

 

 

世界には数えきれないくらいのワイナリーが存在し、土壌、葡萄品種、気候、醸造法、ミクロクリマなど、様々な影響を受けて多種多様なワインが作られています。

 

Roma
Roma

ソムリエの仕事をしていると、ワイン好きのお客様と必ずと言っていいほど話題に出るのが好きなワインや生産者の話です

 

しかしソムリエ試験には、モノポール(単独所有畑)等の例外を除いて、生産者に関する問題は一切出ません。

若い時からよほど恵まれた環境下で勉強をしてこられた方以外は、ソムリエ試験に合格しても生産者の名前や特徴をほとんど知らない、と言う方が多いのが現状では無いでしょうか?

 

お恥ずかしい話、私自身もソムリエになり立ての頃は、今以上にお客様から教えて頂く事ばかり。

好きだけではダメなんだと痛感し、悔しい思いをした経験もあります。

 

 

バッカス様
バッカス様

資格はゴールであらず。

スタートに過ぎないと言う事じゃ!

 

 

そこで今回は、数多あるワイナリーの中から、まず最初に知っておくべき生産者について、お話しをしたいと思います。

第1回は、私の大好きな産地でもあるブルゴーニュ地方シャンボール・ミュジニー村です。

 

 

 

◎こんな方に読んで頂きたい

・ブルゴーニュワインの初心者!

・ワイン好きの方やソムリエとワイントークがしたい!

・ソムリエ試験に合格したけど生産者とか全然知らない!

 

 

 

今回の記事は、主にワイン初心者に向けてお届けしたいと思います。

 

ブルゴーニュは熱狂的なファンの方も多い産地ですので、そんなブルゴーニュラヴァー方には是非とも温かい目でご覧頂けたら幸いです^^

 

まず最初に、シャンボール・ミュジニー村の特徴について簡単に説明をさせて頂きます。

 

なるべく分かりやすくお伝えしたいと言う意図から、フランス語表記では無く、なるべくカタカナを使用します。

ただし、カタカナを繰り返し使用するとどうしても文章が長くなってしまうので、以下の略語を使用する事をご了承下さい。

 

・シャンボール・ミュジニー   →   C.M

・グラン・クリュ(特級畑)   →   G.C

・プルミエクリュ(1級畑)   →   P.C

・ドメーヌ(造り手の意味)   →   D.

 

それでは早速行ってみましょう!

 

 

シャンボール・ミュジニーってどんなとこ?

フランス・ブルゴーニュのコートドニュイ地区に位置し、ブルゴーニュワインの中でも最も繊細で華やかなワインを生む産地です。

 

左上の拡大地図を表示し、グーグルマップからストリートビューに入って頂くと、とても美しい畑の風景が見れます。是非ご覧下さい^^

 

 

人口約300人の小さなその村では、3世紀頃には葡萄が植えられていたと言われています。

 

1302年、当時この地域は嵐が多く、近くの川の氾濫が多かった事からChamp boullant(英語でboiling waterの意。)と名付けられ、そこから派生してシャンボール村となりました。

 

その後、村の名前以上にワインの名前「le Musigny」の方が知名度が高かった事もあり、1878年にシャンボール・ミュジニー村となりました。

 

粘土質が少なくコートドニュイの中でも異例なほど石灰分が多く含まれている土壌で、ブルゴーニュ随一の小説家であるガストン・ルプネルは、この村のワインの事を「シルク(絹)とレース」と表現したとか。

 

C.M村のG.Cは2つあり、ミュジニーとボンヌマールと言う畑です。

P.Cは24個もありますが、一部を除いては小さい畑ばかりで、単一畑でワインが作られると言うよりは、色々な畑のものを混ぜ合わせて作られるものが多いです。

 

 

Roma
Roma

P.Cの中でも、G.Cに近い品質とされるレ・ザムルーズ と、
最大面積を持つレ・シャルムの名声は例外的に高くなっています。

 

ここからは本題に入り、C.M村の知っておくべき生産者をご紹介していくのですが、念のため↓

今回ご紹介する生産者以外にも良い造り手の方は沢山おられますが、今回の記事はブルゴーニュ入門編として書かせて頂きます。

ワインを覚えたての方にとっては多くの生産者を並べると混乱の元となり、結局どの造り手が大事なのかが分からなくなってしまいます。

私自身も初めは色々な本を読んで覚えようとしましたが、かなり苦戦をした経験があります。

そのような理由から今回は3人の生産者に絞ってご紹介をさせて頂きますので、ワイン生産者を覚える第一歩としてこの記事がお役に立てれば幸いです。

 

 

では参りましょう!

 

☆ドメーヌ・ジョルジュ・ルーミエ

まずは1人目、シャンボール・ミュジニーと言えばこの人、ドメーヌ・ジョルジュ・ルーミエ です。

 

(参照:輸入元フィネス「生産者資料」より)

 

1924年にジョルジュ・ルーミエ(人名)が設立したドメーヌで、1945年から所有者元詰めでワイン造りがスタートしました

1962年には息子のジャンマリーが受け継ぎ、1982年からは初代ジョルジュから見るとお孫さんにあたる、3代目クリストフに受け継がれています。

初代への敬意の念からか、現在もエチケットにはドメーヌ・ジョルジュ・ルーミエ と記されています。

 

伝統農法を守り、化学肥料や除草剤を使用せず、葡萄は年によっては除梗され、澱を残したまま樽で12〜15ヶ月熟成されます。

 

バッカス様
バッカス様

除梗とは葡萄の枝の部分を取り除く作業じゃ!反対に、
枝も一緒に発酵する場合は全房発酵と呼ばれているぞ!

 

Roma
Roma

繊細でエレガントな葡萄の香りを表現するため、
この村の生産者の多くは強い香りが付きがちな新樽の使用は控えめです。

 

 

・シャンボール・ミュジニー村の所有畑

 ①ミュジニー(赤)

 ②ボンヌマール(赤)

 ③レ・ザムルーズ(赤)

 ④レ・クラ(赤)

 ⑤コンボット(赤)

 

・シャンボール・ミュジニー村以外

 ⑥リショット・シャンベルタン(赤)

 ⑦シャルム・シャンベルタン(赤)

 ⑧コルトン・シャルルマーニュ(白)

 ⑨クロ・ド・ラブシェール(赤)

 

※赤字が特級畑 青字が1級畑

※村名以上の広域を除く

※⑥、⑦は分益小作のため、クリストフ・ルーミエ の名前でエチケットが貼られている

※⑨はモレ・サン・ドニ村の単独所有畑

 

私が大好きな書籍、ミシェル=ジャック・シャスイユ著書の「幻のワイン100」と言う美術書とも言うべき美しい本の1本目に掲げられているワインが、ジョルジュ・ルーミエ のミュジュニー・グランクリュ2005年です。

 

 

Roma
Roma

ルーミエのミュジニーは生産本数が極端に少なく、
毎年約300本程度の生産量です。
いつかはお目にかかりたいお宝ワインですね!

 

 

全体的に低収量でワイン造りを行っており、世界中のワインラヴァーから垂涎の的となっている事から、リリースされると一瞬で完売となる生産者です。

日本では、漫画「神の雫」でレザムルーズ 2001年が第一の使徒として登場し、今や手に入らない&手に入っても高額過ぎるワインの筆頭格となっています。

 

DOMAINE GEORGES ROUMIER by LOTEL DU VIN

色々なワイナリーを紹介されているLOTEL DU VINのyoutube動画です。

ジョルジュルーミエの美しい畑や醸造風景がよく分かる動画ですので、是非一度ご覧下さい。

多分私は20回くらい見てます。笑

 

 

☆ドメーヌ・コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエ

シャンボールミュジニーを語る上では避けては通る事の出来ないドメーヌ、それがコント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエです。

 

 

 

バッカス様
バッカス様

長い名前じゃが、ワイン好きには通称ヴォギュエで通じるぞ!

 

ヴォギュエは同村の中で最も由緒あるドメーヌの1つ。

歴史を辿ると1450年にジャン・モワソンがここに建物を建てた所まで遡り、それ以降、現在に至るまで、一族の手以外に渡った事が一度もありません。

1766年に一族の娘カトリーヌ・ブーイエがスリス・メルシオール・ド・ヴォギュエと結婚したことによりヴォギュエの名前が世に登場します。

その後、1925年にジョルジュ・ド・ヴォギュエ伯爵が継承し、現在のドメーヌ名とエチケットが世に生まれました。

 

・シャンボール・ミュジニー村の所有畑

 ①ミュジニー(赤・白)

 ②ボンヌマール(赤)

 ③レ・ザムルーズ(赤)

 ④レ・フュエ(赤)

 ⑤レ・ボード(赤)

 

※赤字が特級畑 青字が1級畑

※村名除く

※①ミュジニーG.Cの最大所有者で、約65%を所有

※①の白は、1994〜2014年までは畑の植え替えで若木の使用となったため、ブルゴーニュ・ブランの名前でリリースをされていた

※①の若木を使用し、格下げをしてシャンボールミュジニー・P.Cの赤ワインも作られる

※④と⑤は栽培面積が少ないため、村名ワインのシャンボール・ミュジニーに使用される

※村名シャンボールミュジニーが作られ始めたのは、ヴォギュエ伯爵の死後

 

 

Roma
Roma

その昔、ミュジニーG.Cの赤はミネラルが強くて固すぎる事から、白葡萄も混ぜられて作られていたそうです。生産量が少ない幻のワイン、ミュジニー・ブランが生まれるきっかけとなった訳ですね。

 

 

1960年代〜70年代は、他のミュジニーの生産者の模範となる存在でしたが、同族間の内紛により品質は下り坂に向かったと言われています。

現在、ヴォギュエ伯爵の孫娘がドメーヌを継承していますがワイン造りには関わっておらず、1989年から3人のチーム、醸造担当のフランソワ・ミレ、栽培担当のエリック・ブルゴーニュ、販売担当者のジャン・リュック・ぺパンにより品質は大幅に改良されているとされています。

 

しかし、誤解を恐れずに言うと、90年代〜00年代のヴィンテージに入っても酷評をしているワイン評論家と絶賛をしている評論家が両極端に存在する事から、ヴィンテージによってはミュジニーという偉大すぎる畑に向けられる期待値を上回れていない、と言うのが私の所感です。

 

とはいえ日常的にヴォギュエのワインを愉しまれている方から言わせると、全く違った意見になるかも知れませんし、「ヴォギュエのワインは20年程度の長期熟成を経てこそ真価を発揮する」みたいな文章を良く見ますが、私の知り合いでヴォギュエ好きのソムリエ先輩曰く、ヴォギュエは華やかさが特徴なのだから早めに飲みなさい、と仰っていました。

 

Roma
Roma

神の雫の最終話で、ヴォギュエのミュジニーが「大きな謎。ワインの迷宮そのもの」と表現されましたが、まさにその通りだと腑に落ちました。。

 

 

 

☆ドメーヌ・ジャック・フレデリック・ミュニュレ

3つ目は、シャンボール・ミュジニーの中でも特に手に入りにくい生産者、ドメーヌ・ジャック・フレデリック・ミュニュレです。

 

19世期にディジョンの街で酒商をしていたミュニュレ家が、1863年に現在の本拠地となっている邸宅を購入する事がきっかけで誕生します。

その邸宅には4haの葡萄畑が付属していて、その中にミュジニーやレ・ザムルーズ といった素晴らしい畑も入っていました。

その後も、ニュイ・サン・ジョルジュ村に約10haの畑を買い足し、本格的にドメーヌ・ジャック・フレデリック・ミュニュレとして始動し始めます。

 

Roma
Roma

このワイナリーは邸宅の名にちなみ、別名「シャトー・ド・シャンボール・ミュジニー」と言いますが、現在ではあまり見かけない名となっています。

 

 

しかし、1950年には金銭的問題から、ニュイ・サン・ジョルジュ村の単独所有畑クロ・ド・ラ・マレシャルやC.Mの畑の一部を他の生産者に貸し出してしまい、ワイナリーとしての運営は大きく縮小化されました。

1978年に現当主の父親で元々法律家として世界を飛び回っていたジャックがC.Mの畑をなんとか買い戻し、ワイン造りを本格的に再開。

1985年からは、エンジニアとパイロットという多才な現当主フレデリック・ミュニュレ(人名)を迎えます。

 

その後、1986年からは化学肥料を一切使わず、1990年からは除草剤の使用も止めるなど、「人的介入は極力せずに自然の力に任せる事に重点を置く」というスタンスが功を制し、ワインの品質はまたたく間に向上し、名声も飛躍的上昇しました。

基本的な醸造法は、100%徐梗され、低い温度で3日ほどアルコール発酵を行い18ヶ月程度木樽熟成をして造られています。

 

 

バッカス様
バッカス様

2004年にはクロ・ド・ラ・マレシャルも買い戻され

ますます勢いに乗っておるぞ!

 

 

・シャンボール・ミュジニー村の所有畑

 ①ミュジニー(赤)

 ②ボンヌ・マール(赤)

 ③レ・ザムルーズ(赤)

 ④レ・フュエ(赤)

 

・シャンボール・ミュジニー村以外

 ⑤クロ・ド・ラ・マレシャル(赤・白)

 

※赤字が特級畑 青字が1級畑

※村名除く

※⑤はニュイ・サン・ジョルジュ村の単独所有畑

 

クロ・ド・ラ・マレシャル以外は、生産量があまりに少ないため市場ではまず見かけません。

 

クロ・ド・ラ・マレシャルも年々価格が上昇傾向にありますので、この価格帯で手に入るうちにゲットするのはアリだと思います。

 

 

まとめ

 

 

◎シャンボール・ミュジニー村の知っておくべき生産者

 ①ドメーヌ・ジョルジュ・ルーミエ

 ②ドメーヌ・コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエ

 ③ドメーヌ・ジャック・フレデリック・ミュニュレ

 

 

◎シャンボール・ミュジニーの生産者のポイント

 ・生産者の数が20名程度と他の産地と比べ圧倒的に少ない

 ・粘土質が少ない石灰質土壌のためエレガントなワインが多い

 ・洗礼されたテロワールを表現するため、新樽の使用度は低め

 

 

さて、如何でしたでしょうか。

今回は、まず最初に知っておくべき生産者、シャンボール・ミュジニー編ついてお話をさせて頂きました。

 

冒頭にも書きましたが、今回紹介した3人の生産者以外にも、C.Mには素晴らしい生産者がたくさんいます。

しかし、数多くの生産者の名前を横並びに覚えようとしても、なかなか頭には入ってこないものです。

まずは、少しで良いので深く知る事が肝心だと私は思います。

 

そして、ワインショップやレストランのワインリストでこれらのワインを見つけた時には、是非その背景に思いを馳せてみて下さい。

本日紹介した生産者のワインは高額なものばかりですが、話題に出す事で、きっとワイン好きの方やソムリエとのトークに華が咲くと思います。

そして、ワイン好きの方が1人でも多く、世界に増えてくれれば嬉しいです^^

 

最後になりますが、今回の記事を書くにあたり、参考にさせて頂いた書籍は以下の通りです^^

ありがとうございましたm(_ _)m

 

◎参考書籍

・ブルゴーニュワイン大全

・ブルゴーニュ コート・ドールの26村

・フランスワイン格付け

・ブルゴーニュワインがわかる

・幻のワイン100 -世界最高級ワインと酒蔵-

 

Roma
Roma

今日もどこかでサルーテ🍷

 

 

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

こんにちはー!RomaとMilanoです🐱

「ワインと料理をもっと自由に、もっと愉しく」をテーマに、時には感動を産むことさえあるワインと料理の世界を分かりやすくご紹介いたします!

良き料理、良きワインがあれば、この世は天国!!  byアンリ4世🤯

皆様の人生に更なる彩りを🍷✨

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次